史実と違っていても

nostalji2009-07-01

BS2で『荒野の決闘』(1946年/監督:ジョン・フォード)を放映。お馴染みアープ兄弟とクラントン一家とのOK牧場での対決を描いた一編です。決闘にオールド・クラントンが参加したり、ドク・ホリデーが死んだりと、史実とはかけ離れた内容となっていますが、詩情と哀愁にあふれ、色々あるOK牧場の決闘シーンの中ではベストだと思っています。
この作品は、終戦の翌年に作られており、戦後、アメリカが世界の保安官を自負していく姿を象徴しています。戦前の西部劇における保安官は傍役的存在(戦前のヒーローは『駅馬車』のリンゴキッドのようなグッドバッドマンが圧倒的に多かった)でしたが、戦後は保安官西部劇というジャンルが確立できるくらい作られました。西部劇で描かれる保安官を通して、アメリカの世界観が見えてきます。終戦直後の『荒野の決闘』のワイアット・アープは秩序を維持する平和の使者でしたが、ベトナム戦争の影響をうけた『墓石と決斗』のワイアット・アープとなると、やられたらやりかえすという、法律の名のもとに復讐するリベンジャーに変化していますからね。
画像は、クレメンタインとアープのダンス・シーン。陽光を浴びて、市民たちが集い楽しむ姿は、平和のイメージそのもので、戦勝国アメリカの姿を映し出していま〜す。