斬られの美学

nostalji2009-08-23

録画していた『鬼あざみ』(1950年・大映/監督:冬島泰三)を観る。水車小屋の娘(山根寿子)と江戸に駆落ちした代官の息子(長谷川一夫)が、それを知った代官所の用人(阪東好太郎)に御用金横領の濡れ衣を着せられるんですな。追っ手に追われて主人公は娘と離ればなれになり、倒幕派打倒の軍資金を集める強盗団に助けられ、やがて鬼あざみと異名をとる無法者となります。ある夜、捕り方に追われて逃げ込んだのが娘の家で、娘は遊女になっているんですよ。落ちるところまで落ちた男女の運命は……
CATVの時代劇専門チャンネルが毎週放送している長谷川一夫特集の未見の作品を録画して観ているのですが、バンツマ・アラカン・千恵蔵・右太衛門と違って長谷川一夫は絶対的な強さを持っておらず、斬られて苦しむ美しさがありますね。この作品でも、背後の敵を防ぎきれずに肩のあたりをバッサリやられ、片手で刀を構え相手を睨みつける色気や、足を斬られて、思わずよろけて転びながらも、一人斬り、二人斬りしていく立回りの悲愴美は長谷川一夫独自のものです。この悲愴美を出せる役者は、後には市川雷蔵ぐらいなもので、バッタバッタと斬りまくるスーパーヒーローとは異なる魅力がありま〜す。画像は、『鬼あざみ』の長谷川一夫
HP:チャンバラワールドの「長谷川一夫のチャンバラ映画」に追加アップ⇒http://www.asahi-net.or.jp/~uy7k-ymst/star5/hkchan7.htm