ベストセラーのおかげで

nostalji2009-12-06

録画していた『徳川家康』(1965年・東映/監督:伊藤大輔)を観る。山岡荘八の大長編小説の家康誕生から桶狭間の合戦までを映画化したものです。原作本は、それまで狸オヤジのイメージだった家康像を、忍従の末に天下人となる苦労人として描き、経営学ブームにのってビジネスマンや経営者の愛読書となるベストセラーになりました。私は家康が好きじゃないんで、読んでいません。
映画の方は、周囲の事情を含めて手際よく纏めた感じなのですが、そのため焦点が絞れず、全体的に深みのないものになっています。小大名の父(田村高広)の苦悩や、母(有馬稲子)の情愛など、もっと描きこんでもよかったような気がしますが、それでは144分には収まらなかったでしょう。クライマックスを桶狭間にしたため、家康よりも信長(中村錦之助)ばかりが目だっていました。モノトーンによる桶狭間の合戦シーンは伊藤大輔らしい迫力ある演出です。ただ気に入らないのは、信長が甲冑姿じゃなかったことと、伊福部昭の音楽が地球防衛軍的だったことですね。
画像は、『徳川家康』の北大路欣也元服以後の登場となるので、出演シーンは最後の方だけで〜す。