奇怪な存在

nostalji2010-01-31

顧蓉・葛金芳:著(尾鷲卓彦:役)の『宦官』(徳間文庫:2000年11月15日初版発行)を読了。私が宦官に興味を持ったのは、中国や朝鮮で権力者の陰の部分として存在した宦官が、日本にはなかったことなんです。古代においては、中国だけでなく、ローマ・ペルシャ・インドにも宦官がいたというのは驚きでしたね。宮殿にいる女性は全て国王の所有物という思想のもとに、宮殿の管理に去勢された男が使われたのが始まりのようです。中国では宦官が制度として歴代王朝に引き継がれた為、清朝滅亡まで4千年にわたって歴史に名を残すことになりました。家父長型社会にあって、家をもたない宦官集団は国王に絶対服従し、国王も彼らを信任できる存在として必要としたんですね。朝鮮では高麗時代に伝わり朝鮮王朝へ引き継がれました。韓流時代劇に出てくる内侍(ネシ)や内官(ネグァン)が宦官なのだよ。日本では藤原家の摂政政治時代で、宦官を必要としなかったのですね。それにしても宦官って、奇怪な存在だよなァ。