英雄ではなかった

nostalji2010-03-05

萩原遼:著の『朝鮮戦争』(文春文庫:1997年6月10日第1刷発行)を読了。アメリ国立公文書館にある160万ページの北朝鮮からの奪取文書の解読を中心に、北朝鮮朝鮮戦争の根源にせまったノンフィクションです。
北朝鮮建国の英雄・金日成が、一発の弾も撃ったことのない、ただのソ連軍大尉で、ソ連によって作られた抗日の英雄だったことを初めて知りました。英雄を演じているうちに本人もその気になり、ソ連と中国を後ろ盾にして朝鮮統一のために南進計画を立てるんですな。軍備配置を整え、侵攻の機会を待っていたところに38度線で小競り合いがあり、朝鮮戦争が勃発します。
アメリカは北朝鮮の情報を事前に知っており、北朝鮮が侵攻してくるのを待っていたとのこと。アメリカは米軍介入の口実が必要だったんですね。米軍が介入すれば、中国軍も介入し、朝鮮半島は民族の悲劇に見舞われます。結果としては何も生み出さず、北朝鮮は軍事力維持のために経済発展せず、国民は飢えと貧困に喘ぐ現実だけが残されています。金正日政権が崩壊し、南北統合ができれば、北朝鮮国民も飢死することはなくなり、拉致問題も解決できると思うんですがねェ。