歴史ミステリー

nostalji2010-03-07

井沢元彦:著の『隠された帝』(祥伝社:1994年12月1日第2刷発行)を読了。天武天皇による天智天皇暗殺という新説を大胆な推理で展開する歴史推理小説です。「扶桑略記」の“天智消失説”を元ネタに、自説に都合のよい資料によって論理展開しているのですが、納得感があるんですよ。書紀に天武天皇大海人皇子)が初登場してくるのが43歳と遅いため、高句麗のヨンゲソムンが天武天皇になったというトンデモ説がありますが、天智天皇の兄弟でなかったというのは信憑性がありますね。著者は天武を皇族以外の新羅シンパ(天智は新羅の謀略によって暗殺された)のひとりという説をとっていますが、天皇権の確立や勢力の長となる声望や地位を高めたのは、皇族のひとりと考えるのが自然のような気がします。暗殺というのも……???