雷蔵・カツシン対決

nostalji2010-07-30

録画していた『柳生連也斎・秘伝月影抄』(1956年・大映/監督:田坂勝彦)を観る。原作は、ラストの決闘で勝ったのがどちらかわからない描写が画期的で話題をよんだ五味康祐の剣豪小説です。映画では勝者がはっきりわかりますけどね。
宮本武蔵(黒川弥太郎)から“見切り”の奥義を修得した鈴木綱四郎(勝新太郎)は、尾張藩随一の剣客と噂され、江戸藩邸にいる若殿(林成年)の指南役に推挙されるが、若殿のお気に入りの柳生連也(市川雷蔵)が指南役となるんですね。想いを寄せる女(角梨枝子)は連也に惚れており、綱四郎の相手をしてくれません。これじゃ、敵対心の塊となっても仕方ありませんな。なんやかんやあって、天白ヶ原で真剣勝負となります。綱四郎の“見切り”に対して、連也は柳生秘伝の“月影”ね。“月影”は相手の影でもって間合いを見極める秘剣で、綱四郎も迂闊に斬り込めません。雲が太陽に近づき、陽光を遮った瞬間、両者が動いて勝負が決します。
カツシンが雷蔵と同格になるのは、“悪名”や“座頭市”などのヒット・シリーズが出た1960年代からで、それまでは雷蔵の方が1ランク上の存在でした。この作品でも、カツシンは雷蔵の惹きたて役にすぎませ〜ん。