十二尺の槍の殺陣

nostalji2010-08-03

録画していた『元禄名槍伝・豪快一代男』(1955年・松竹/監督:芦原正)を観る。“忠臣蔵”で赤穂浪士に味方する豪傑として有名な俵星玄蕃近衛十四郎)の物語ね。膳所藩士の玄蕃が酔っ払って赤穂・浅野家の行列に無礼を働くが浅野内匠頭の寛大な措置で許され、藩に暇乞いして江戸で道場を開くんですが、荒稽古と酒好きが祟って弟子が寄りつかず、ヤクザ相手の荒んだ生活をおくるんですな。恩ある内匠頭が切腹し、浅野家は断絶。夜なき蕎麦屋となって吉良邸を探っていた杉野十平次と知り合い、ラストは討入りで吉良家への応援にかけつける上杉家の家臣相手に槍を使っての大立回りとなります。普通は九尺の槍なんですが、近衛が使うのは十二尺の槍で、これが凄いんだなァ。ブンと振り回すと槍がしなって、迫力倍増です。殺陣をさせたら、近衛十四郎は超一流で〜す。
ところで俵星玄蕃ですが、講釈師が作り出した架空の人物です。大酒飲みで槍を取っては天下無双というキャラが受けたのでしょうね。義士銘々伝では杉野十平次との友情が定番となっていますが、飲んべい同士ということで堀部安兵衛との友情を扱ったものもありますね。東宝オールスターの『忠臣蔵』では、三橋達也の安兵衛が三船敏郎の玄蕃と友情で結ばれ、三船は豪快な玄蕃を演じていました。そういえば、堀部安兵衛を主人公にした『忠臣蔵・暁の陣太鼓』でも、近衛は俵星玄蕃を演じて素晴らしい槍の殺陣を見せていましたねェ。