興味ある素材

nostalji2010-09-10

奈良県明日香村の牽牛子塚古墳が斉明(皇極)女帝の墓らしい。八角形墳で対辺の長さが約22メートル、3段構成だったと推定されます。巨石をくりぬいて造った石室は推定約70トンで、石室の周りを一つ約5トンの石が囲み、墳丘に使われた数千個の石も含めると、総重量は500トンを超すとのこと。日本書紀には、斉明天皇が“大倉庫を建てて財物を集めた”“長い水路を築いて公金を浪費した”“船に石を積んで運び丘を築いた”という蘇我赤兄の記述があり、土木事業が好きだった女帝のようですね。
斉明女帝は中大兄皇子天智天皇)の母親で、夫の舒明天皇が亡くなった後、皇極天皇として即位し、推古天皇に次ぐ日本で二人目の女帝でした。当時、皇位継承者としては舒明天皇の皇子・古人皇子(母は法提郎女)と中大兄皇子、それに舒明天皇皇位を争った山背兄皇子がいて三すくみの状態だったんですな。それで、折衷案として妻の宝皇女(皇極天皇)が即位したわけです。大化の改新により朝廷内で権力を専横していた蘇我氏が滅びて皇極天皇は退位するのですが、継いだ孝徳天皇が亡くなるや、斉明天皇として再度皇位につきます。朝廷内では愛憎渦巻く内紛や謀反、対外的にも唐の朝鮮半島侵攻に対する百済への援助など波乱の時代で、斉明女帝は韓国時代劇なら喜んで主人公にしたくなるような素材ですねェ。
画像は、朝鮮史上初の女帝を主人公にした韓国時代劇『善徳女王』ですが、内容は歴史上の名前を借りただけの殆どフィクションです。だけど、これが面白いんだなァ。日本でも古代史なんて推論の世界なんですから、物語性を重視したドラマをつくれば素材のよさだけで面白いものができると思いますよ。