対決が見どころ

nostalji2011-12-02

録画していた『座頭市地獄旅』と『座頭市の歌が聞こえる』を観る。『座頭市地獄旅』(1965年・大映/監督:三隅研次)は、親分の仇討ち+賞金目当ての五人組(戸浦六宏がリーダー)、彼らの仲間で市を見張っているうちに市を好きになる女(岩崎加根子)、船の中でこっぴどく市にやられて仕返ししようとしている二人のヤクザ(須賀不二男、藤岡琢也)、市の将棋相手の人斬り浪人(成田三樹夫)、湯治場で市と仲良くなる浪人を仇と狙う兄妹(山本学、林千鶴)が、見事に絡み合ってストーリーが展開していきます。人物が巧く捌けているのは伊藤大輔の脚本に負うところが大きいでしょうね。市と浪人が暗譜で将棋を指しながら、戦いのきっかけを探るシーンの緊迫感と居合いの対決は見応えがあります。三隅研次は、けれん味のないオーソドックッスな演出で、シリーズの中でも上出来の作品に仕上げていますよ。
座頭市の歌が聞こえる』(1966年・大映/監督:田中徳三)は、旅の琵琶法師(浜村純)からヤクザのいない宿場と聞いて一宮に市がやって来るんですが、板鼻の権三(佐藤慶)一家が乗り込んで暴虐の限りをつくしているんですな。市がやむを得ず権三の子分を斬ったことから権三一家と対立します。そこへ女房・お蝶(小川真由美)の身請けの金を稼ぐために凄腕の浪人・黒部玄八郎(天知茂)が現れ……
伊福部昭の音楽、盲目の法師と市の会話(差別用語ばかりなので、カットされたら会話にならないだろうな)、天知茂との決闘と、見所・聴所が色々あって楽しめます。悪党一家が市の耳を使えなくするために太鼓を叩くのは新手で面白かったですね。佐藤慶は知的悪党がピッタシきます。財布を頼まれたものの、相手が何処にいるかわからず、市がネコババしようとするのも人間味が出ていてグッドです。格段優れた作品ではありませんが、平均以上の出来だと思いま〜す。