どこか湿っぽい

nostalji2012-01-13

ビデオに録画保存していた『いれずみ判官』(1965年・東映/監督:沢島忠)を観る。東照宮改築工事に絡む不正を遠山の金さん(鶴田浩二)が暴く物語です。深川の木場を管轄する南町奉行所与力(有名になるまえの栗塚旭ね)が転落死し、自殺として処理されるのですが、不審に思った金さんが木場人足に変装して捜査を開始するのね。東照宮改築工事の材木入札の前日に材木商の近江屋(原健策)が殺され、死体を発見した蕎麦屋藤山寛美)が犯人として南町奉行所役人(天津敏)に捕まります。材木調達は難波屋(阿部九洲男)に落札され、その難波屋に死んだ南町奉行所与力の妻(桜町弘子)が、夫が残した書付をネタに脅迫します。その書付には、難波屋の普請奉行(徳大寺伸)や南町奉行佐藤慶)への収賄事実が記されていたんですな。さらにその金は老中(水野忠邦)にまで流れており、証拠を手に入れた金さんは江戸城に乗り込みます。相手が大物なので、奉行所の御白洲というわけにはいきませんからね。ラストの処理は、かなりご都合主義です。むりやりハッピーエンド・バージョンみたいなものね。
事件関係者を全部揃え、悪党を追いつめていく痛快感のない遠山の金さんなんて失敗作ですよ。脚本が悪すぎます。それに鶴田の金さんは、啖呵がナヨナヨしていて江戸っ子らしさがありません。ミスキャストだなァ。鶴田のキャラに合わないんですよ。カツシンが眠狂四郎をやるようなものね。『人生劇場・飛車角』で鶴田の魅力をひきだした沢島忠でしたが、キャスティングを間違えた不出来作品で〜す。