しかしてその実体は

nostalji2012-02-03

ビデオに録画保存していた『快傑黒頭巾・爆発篇』(1959年・東映/監督:松村昌治)を観る。ゴーラム(薄田研二)が所有する液体火薬を手に入れるために浪士取締役の水野主膳(山形勲)と薩摩の益満休之助(加賀邦男)が横浜にやってくるんですな。益満は主膳配下の見廻組・高崎剣之助(原健策)に捕えられ、ゴーラムは主膳に祖先が隠したという豊臣家の秘宝との交換を条件にします。ゴーラムは秘宝の地図を持っているのですが、場所がわからないんですよ。その場所がわかるのは、地理学者の山鹿士行(明石潮)だけね。ゴーラムの召使のインド人に変装した黒頭巾(大友柳太朗)が、隙をついて秘宝の地図を奪い、さらに牢番に変装して捕えられていた益満と山鹿士行を脱獄させます。見廻組隊士に変装して、幕府役人の検問を突破するのは、『紅はこべ』のパクリね。
江戸に帰った黒頭巾は、演歌師の与作と易者の天命堂に変装し、一人二役で百軒長屋に暮らしています。隣に住むのは、お美津(花園ひろみ)と友之助(松島トモ子)の姉弟ね。お美津の恋人は長州藩士の手塚真二郎(尾上鯉之助)で、お美津が働く船宿の同僚にお藤(青山京子)がいるんですが、お藤は主膳の密偵なんです。手塚と益満の会談で、秘宝の隠し場所は信濃の白馬岳ということ盗み聞きしたお藤は主膳に知らせます。主膳の宴席で、ゴーラムはお美津を見初め、液体火薬の見返りとしてお美津を渡すことを主膳はゴーラムに約束します。
秘宝の発掘に行った手塚と山鹿士行は、見廻組に待伏せされ、士行は捕えられ、手塚は崖下に落ちます。手塚を救ったのが村娘の五月みどりね。馬子に変装して手塚を捜していた黒頭巾は、手塚から事情を聞き、山男に変装して士行を救出します。しかし、追っ手の銃撃により、士行は死に、秘宝も奪われ、黒頭巾も千尋の谷に落ち、運命はいかに……
真鶴岬に碇泊した海賊船の船上で、主膳とゴーラムの取引が行なわれようとした時、片目の海賊に変装した黒頭巾が船に乗り込みます。黒頭巾は不死身なのだよ。捕えられていたお美津と友之助は、改心したお藤が助け出しますが、それに気づいた主膳の前に悪を諌める黒頭巾が立ちはだかります。頭巾を脱いだその人こそ、山鹿士行の息子・山鹿弦一郎で、正義と真実の使途だよォ。
バカバカしいような九変化なのですが、これが愉しいんですね。リアリズムなんて全くないお子さま向けチャンバラ映画ですが、大人だって童心に帰って楽しめま〜す。