太助映画の最高傑作

nostalji2012-08-27

録画保存していた『一心太助・天下の一大事』(1958年・東映/監督:沢島忠)を観る。魚河岸でボオーとしている男(田中春男)とぶつかった太助(中村錦之助)は、男の恋人おとよ(桜町弘子)が大久保彦左衛門(月形龍之介)に奪われたと聞いて彦左衛門のところへ。これは太助の早トチリで、おとよは彦左衛門の隣家・川勝丹波守(進藤英太郎)の腰元で、丹波守は無理やり側室にしようとしていたのね。丹波守は材木商(原健策)と結託して御用材の横流しで私腹を肥やし、幕閣に取り入って大久保家の空地を自分のものにしようとしている悪い奴。でもって、太助の活躍により丹波守の悪業が暴かれる物語なのです。
『天下の名物男・一心太助』の続編で、前作のヒットによりモノクロからカラーになりました。前作の時は、沢島忠はまだ新米監督で会社から信用されていなかったとのこと。本作では悪党退治という基軸に、太助の長屋に越してきた良江(丘さとみ)とお仲(中原ひとみ)の太助をめぐる恋の鞘当て、太助と彦左衛門の情愛、家光(中村錦之助の二役)と彦左衛門の情愛、政道と人情の間で彦左衛門を思いやる家光と松平伊豆守(山形勲)の心情を絡めてテンポよく展開していく手際は沢島忠ならではです。笑わせて、ホロっとさせて、ラストは祭り神輿をかついでの殴り込みと、観客の歓ぶツボを見事におさえた傑作で〜す。