シリーズ完結

nostalji2012-08-28

録画保存していた『一心太助・男の中の男一匹』(1959年・東映/監督:沢島忠)を観る。お仲(中原ひとみ)と所帯を持つことになった太助(中村錦之助)だが、婚礼の日から長屋の若者を助けるためにゴロツキ中間相手に大暴れ。おまけに、大久保家の用人・笹尾喜内(堺駿二)の隠し子・糸吉(夢路いとし)と鯉平(喜味こいし)や、お仲の友だち・お恵(丘さとみ)とお光(月笛好子)が太助の家に居候することになり、新婚生活もままなりません。その頃、魚河岸の独占を企てる丹波屋(原健策)と結託した南町奉行・神尾備前守進藤英太郎)は弟の主膳(阿部九州男)を使って、魚河岸支配に邪魔な松前屋(大河内伝次郎)を襲いますが、太助と大久保彦左衛門(月形龍之介)が阻止します。彦左衛門が急死し、備前守松前屋に豊臣残党の汚名をきせて処刑しようとしますが、太助が松前屋の無罪を証明し、備前守の罪状を調べていた松平伊豆守(山形勲)が駆けつけて悪党たちは一網打尽。
前作と同じような筋立てですが、全体的に散漫になっています。主人公登場に伴う立ち廻り、3分の1すぎた時に立ち廻り、ラストまでの間に立ち廻り、最後に大立ち廻りという東映時代劇の法則を守ったために、前作までの立ち廻りに代わる情感のぶつけ合いがなくなり、平凡な作品になってしまいました。それにしても、喧嘩っ早くて、情にもろくて、オッチョコチョイで曲がったことが大嫌いという江戸っ子がピッタリの中村錦之助でした。あんなに上手く江戸っ子の啖呵がきれるのは、錦之助しかいないですね。