野心作だが

nostalji2012-09-05

録画保存していた『天草四郎時貞』(1962年・東映/監督:大島渚)を観る。島原藩松倉勝家平幹二朗)の圧制と弾圧と耐えかねた百姓とキリシタンが浪人(戸浦六宏)の煽動によって代官・田中宗甫(千秋実)を襲います。天草の救世主と仰がれる天草四郎大川橋蔵)は、全国の百姓・キリシタンが起ち上がるまで待てと制止しますが、彼らの勢いを止められず島原城攻撃を決意するんですな。幕府からキリシタン弾圧のために派遣されていた多賀主水(佐藤慶)は幕府にこの事を急報し、城の守りを固めます。幕府の大軍が来る前に四郎は城攻めを行いますが、絵師・右衛門作(三国連太郎)の裏切りで親友の新兵衛(大友柳太朗)や四郎の母と姉が捕らえられ、城方にオランダ軍の大砲も加わり、城攻めは失敗。四郎は幕府の大軍を迎えるために、百姓・キリシタンを率いて古城に立てこもるところでエンドね。
松竹を退社した大島渚東映に招かれて初めて作った時代劇です。幕府の大軍を散々に苦しめた原城での合戦をクライマックスにするスペクタクル時代劇でなく、演説の多い思想時代劇となっています。天草四郎を革命の在り方を語る青年にしたのは、60年安保闘争の敗北の影が大島渚の心に反映している感じですね。東映時代劇と大島渚では完全にミスマッチで、当時の観客は途惑ったと思いますよ。大島渚の意欲は感じますが、時代劇として物足らなく(集団アクションシーンの演出は下手)、内容的には失敗作だと思いま〜す。