短い時間の中で

nostalji2012-11-25

録画したままだった『宮本武蔵』(1973年・松竹/監督:加藤泰)を観る。関ヶ原から巌流島の決闘までを2時間30分で描くには少し無理がありましたね。前半の1時間20分で、武蔵(高橋英樹)が又八(フランキー堺)と関が原で別れ、沢庵(笠智衆)に先年杉に吊るされ、お通(松坂慶子)と一緒に逃げるものの剣の修行のためにお通とも別れ、吉岡清十郎細川俊之)、伝七郎(佐藤允)を破り、一乗寺下り松の決闘までが一気に描かれます。後半は、剣に迷いの出た武蔵と、朱美(倍賞美津子)との間に子ができて人生を悟る又八が対比して描かれ、迷いを捨てるために佐々木小次郎(田宮次郎)と対決する巌流島の決闘ね。雨の巌流島はこの作品だけじゃないかな。
武蔵の成長物語として描くには時間不足だったのは否めませんが、フランキー堺の又八は味があって良かったですね。それと、武蔵とお通への執念を持ったまま死んでいくお杉婆の任田順好も従来の武蔵映画と違っていて面白かったです。小次郎のキャラにあっていた田宮次郎も是。
殺陣に関しては唸るものがなく、平凡な出来です。巌流島の決闘で、倒れた小次郎が近づく武蔵を斬り上げ、武蔵がジャンプして最後の一撃を加えるところが目新しかったですかね。成長・友情・ライバル・恋情など物語の普遍的要素が網羅された『宮本武蔵』は、繰り返し映像化に耐える国民的作品なので〜す。