元はとっていない

nostalji2012-12-03

セルビデオの西部劇『シマロン』(1931年/監督:ウェズリー・ラッグルス)を観る。オクラホマの小さな町で新聞社を始めた夫婦の歴史と、町が大都会となっていく様相を描いた開拓史劇です。
主人公のヤンシー(リチャード・ディックス)は、息子にその名をつけたくらいのシマロンと称される夢多き冒険家です。オクラホマのランドラッシュに参加したもののデキシー・リー(エステル・テイラー)という女に欺かれて土地を先取りされていまいます。しかし、ランドラッシュでできたオセージの町に妻セーブラ(アイリン・ダン)と息子のシム、それに下僕の黒人少年を連れて移住するんですな。彼は前任の新聞発行者がならず者に殺されたことから、新聞社をおこしてならず者を糾弾します。ならず者は演説しているヤンシーを殺そうとしますが、逆にヤンシーの二挺拳銃に倒されるのね。
1年過ぎ、娘も生まれ、新聞社も順調に発展します。ヤンシーのかつての友人キッドが部下とともに町の銀行を襲い、家の外にいたシムを助けようとした黒人少年が流れ弾に当って死にます。ヤンシーは正義のために彼らを倒しますが、人を殺して得た賞金は受け取らないと言って突きかえし、セーブラと夫婦ゲンカね。新たなランドラッシュが開催されることになり、ヤンシーは家を出て消息不明になりますが、3年後に米西戦争の英雄として凱旋します。その間にセーブラは新聞社を大きくして町の名士になっています。ヤンシーは町にとって不名誉な存在というだけで告訴されたデキシー(農場を売って、売春宿のオーナーになっていたのね)を弁護したり、インディアンを新聞で擁護したりと、町の有力者たちとは意見が合わないのね。
オクラホマが州に昇格した時、有力者たちがヤンシーを知事候補として推薦しますが、インディアンから石油の利権を奪うのが目的と知り、ヤンシーは知事になるのを断り、セーブラと夫婦ゲンカをして姿を消します。それから数年、オクラホマ開拓の功労者としてヤンシーの銅像が建てられ、その除幕式の日に、石油爆発から多くの人命を救うために犠牲になったヤンシーの死が伝えられます。
1931年度のアカデミー作品賞で、開拓期の騒然とした町から大都市に変貌していく年代記的展開がヤンシーの活躍とともに見事に映像表現できています。いきなりド迫力のランドラッシュを見せつけ、観客を作品の中にひきこむ構成は素晴らしいですね。主演のリチャード・ディックスは少しカッコつけたところはあるものの、その眼力で理想に燃える男を見事に演じていました。アイリン・ダンの自然な演技と比べると、サイレント風の古臭い演技なんですけどね。
購入した時に観て以来の再見ですが、次に観ることはあるかなァ。ビデオデッキなんて、なくなっているでしょうね。DVDにダビングしておいてもいいけど……