未見だったビリー映画

nostalji2013-01-10

西部劇DVDの『ビリー・ザ・キッド』(1930年/監督:キング・ヴィダー)を観る。ビリー・ザ・キッドの物語は何度も映画化されていますが、これはトーキーになって最初のビリー映画です。
リンカーン郡を牛耳る悪徳保安官ドノヴァン(ジェームズ・マーカス)が部下を使って新しくやってきた牧場主のタンストールを脅しますが、ビリー(ジョニー・マック・ブラウン)がタンストールを助けます。それが縁でビリーはタンストールの牧場で働くことになるのですが、ドノヴァン一味のバリンジャー(ワーナー・P・リッチモンド)にタンストールが殺され、怒ったビリーはドノヴァンに味方するものは全員殺すと言って暴れ始めるんですな。しかし、タンストールの親友だったマクスウィンの家に仲間と集結した時に、ドノヴァン一味に包囲されます。3日3晩にわたる銃撃戦の後、ドノヴァン一味はマクスウィンの家を火攻めにし、マクスウィンや仲間は殺され、火の中からとびだしたビリーはドノヴァンを倒して脱出します。ドノヴァン一味がビリーたちを兵糧攻めにしたり、丘の上から火のついた樽を転がしたりと手がこんでいて見応えのあるものになっていました。
ビリーに殺されたドノヴァンに代わってパット・ギャレット(ウオレス・ビアリー)が保安官となり、ビリーを捕えるのですが、洞窟に立て籠もったビリーが空腹に耐えられず、ギャレットが洞窟の前でジュージュー焼いたベーコンに吊られて出てくるシーンは面白かったです。捕まったビリーはギャレットの隙をつき、最後の敵であるバリンジャーを殺して脱走します。ビリーはギャレットにもう暴力沙汰は起こさないと約束し、戦いの日々の中で愛しあうようになった死んだタンストールの婚約者クレア(ケイ・ジョンスン)と国境の向こうに去って行くのです。
オイオイと言うようなハッピーエンドにはビックリですが、ビリーとギャレットの関係が爽やかだし、ウオレス・ビアリーの味わいある演技がこの作品を面白いものにしていますね。それと、実際のリンカーン郡でロケしたという映像も魅力的(ロングショットが雄大で素晴らしい)です。数あるビリー映画の中でも上出来作品といえます。『ヤングガン』に次ぐ、私のお気に入りビリー映画になりました。