ひどい歴史観

nostalji2013-01-11

昨日は韓国時代劇『広開土太王』の最終回を観る。タムドク(イ・テゴン)が愛していたトヨン(オ・ジウン)が死んでからは、最終回まで合戦ばかりで哀切な話がなくなり、一緒に観ていたカミさんは、男どもの吠える顔には飽きたと言っていました。私はといえば、タムドクが日本本土まで攻めてきて変な日本人ばかりの倭国を従属させたのにはビックリ。広開土太王碑にある、「倭以辛卯年来渡海破百残△△新羅以為臣民」の条文を超拡大解釈しているのね。素直に読むなら、「倭が辛卯年(404年)に海を渡って来て、百残(百済)・△△(風化して読めない)・新羅を破って臣民にした」となるのですが、韓国の学者は原文の“渡”の前に高句麗の文字を入れ、“破”の字の後に倭の字を補って、「倭が辛卯年に来ると、高句麗は海を渡って倭を破り、百済・△△・新羅を臣民にした」とムチャ解釈しています。この説を取るにしても、海は黄海であって日本海ではありませんよ。
最終回は、宿敵であった後燕を破り、後燕王になったコウン(キム・スンス)を心服させてメデタシ、メデラシね。慕容雲=コウンは史実だけど、広開土太王が龍城を攻めたという史料はどこにもありません。後燕は内乱と北魏の侵略、慕容煕の高句麗侵略失敗で国力が衰えていきました。慕容雲が王になった時はガタガタで高句麗と戦う力はなく、攻める必要はなかったのね。英雄物語なので、はっきりした決着をつけただけですな。
後番組として今日から始まる『武人時代』は、高麗時代中期(12世紀後半〜13世紀前半)を時代背景にしており、馴染みのない時代なのが興味をひきます。2003年から2004年に放送された古めの作品で、物語の中心となる出演者もラブロマンスとは縁のないソ・インソク、キム・フンギ、イ・ドックァ、キム・ガプスといったオッサンばかり。カミさんは観ないだろうなァ。真面目で面白みのない物語が予想されますが、歴史観は『広開土太王』ほど酷くないでしょう。