退屈しなかった

nostalji2013-01-23

無声時代劇DVDの『尊王攘夷』(1927年/監督:池田富保)を観る。物語は安政5年の黒船来航から桜田門外の変までを井伊直弼大河内伝次郎)を主人公にした歴史劇です。上映時間100分というのは当時としては大作ですね。安政の大獄で勤王浪士を捕えるシーンとラストの桜田門外しかチャンバラはないのですが、映像に躍動感があり、冗長感の少ない構成で最後まで一気に見せてくれました。
大河内伝次郎井伊直弼は堂々として風格があり、表情が豊かでセリフがなくても何を言いたいかが伝わってきます。特に目の配りが素晴らしく、演技はセリフじゃないですねェ。
ところで井伊直弼ですが、評価は別れますが、歴史が必要とした人物であったと私は思っています。時代の分岐点には体制を変えるような独裁者がいないと、社会は大きく変化しないんですね。開国したことにより、幕末の英雄たちが国際情勢を肌身で感じ、維新の原動力になっていった気がします。桜田門外で暗殺されたのは、歴史の役目を終えた運命を感じますね。