アラカン主演の無声時代劇ＤＶＤ『百萬両秘聞（前・后編）』（１９２７年／監督：マキノ省三）を観る。百万両の隠し場所を巡って美男の若侍・盗賊・人斬り浪人・美女たちが絡む伝奇時代劇です。由比正雪が隠した百万両の隠し場所を亡き恩師からきいた春水主税（嵐長三郎）が幽霊野で小箱を見つけるところから物語は始まります。二人の話を盗み聞きした盗賊・通り魔の半次（市川小文治）が横取りしようと主税を襲いますが逆にやられ、半次の年老いた両親が主税に命乞いして助かるのね。親の情にほだされるというのは、戦前の作品によく見られるパターンです。しかし、半次は二足ワラジのヤクザ・吉兵衛を味方につけ、主税を襲います。主税は正雪一味の残党ということで、役人に追われているんです。捕り方をバッタバッタと斬りまくるのも戦前の作品（それも無声映画）によく見られるパターンね。
捕り方に追われた主税は、久世大和守の愛妾・天花院（鈴木澄子）の屋敷に逃げ込みます。恩師の娘で恋人だった藤尾（松浦築枝）がそこに住み込んでいて再会しますが、天花院は主税に惹かれ自分の愛人にしようとするのね。小箱にあった文字の謎を解く手がかりの歌集を取り寄せるために藤尾が江戸に向かいますが、天花院は予てからよしみのある吉兵衛に報せます。途中で藤尾は吉兵衛一味に捕まり、主税は藤尾の救出へ。しかし、吉兵衛の用心棒・片桐勝十郎（山本礼三郎）に邪魔されます。天花院は主税を追って屋敷を出ますが、天花院に惚れていた勝十郎に手籠めにされ、愛人にされます。勝十郎は天花院が言っていた歌集から謎を解き、隠し場所の幽霊沼へ。百万両は沼の底にあり、二人は水潜りの名人を雇い、場所を探り当てたところを勝十郎が名人をバッサリ。しかし勝十郎も、天花院の色仕掛けに油断して刺殺されます。藤尾は半次に助け出されて天花院のところへ戻りますが、主税を自分のものしようとしている天花院に毒殺され、天花院は百万両を餌に主税を誘惑しますが、藤尾の死体を見つけた主税に斬られるのね。鈴木澄子の妖艶ぶりがグッドです。最後は、アラカンが捕り方相手に大立ち回り。
