時代劇には満足だが

nostalji2013-02-10

昨夜はテレビ朝日開局55周年記念のドラマスペシャル『上意討ち』を観る。原作は滝口康彦の「拝領妻始末」ですが、原作からの脚色でなく、1967年製作の同名映画(監督:小林正樹、脚本:橋本忍、主演:三船敏郎)のリメイクです。橋本忍が脚本を書いており、映画では外された場面が盛り込まれていました。ドラマ部分は厚みが出ていましたが、映画と比べると……
主君の非道に対して、それまで忠実に生きてきた武士が一生に一度の意地を立てて反逆の刀を抜く物語で、小林正樹は武士社会の非情さをモノクロ映像で重厚に描いていましたが、鮮明なカラー映像となると寂寥感が薄れます。田村正和に三船のようにバッタバッタと斬りまくる鬼神の立回りは期待できないのでチャンバラ時間を短くしたのは正解でしょうが、カタルシスは得られません。
映画が作られた1967年は、会社組織に縛られたサラリーマンの鬱憤、ベトナム反戦運動が激化し権力への反抗が時代の流れの中にあって、社会状況を反映していましたが、現在、組織の中で生きることの不条理を問う意味があるのですかね。