定着か放浪か

nostalji2013-10-17

西部劇ビデオの『さすらいのカウボーイ』(1971年/監督:ピーター・フォンダ)を観る。アメリカン・ニューシネマの代表作といえる『イージー・ライダー』を製作・主演したピーター・フォンダの初監督作品です。
娘が生まれたことも知らず、家を捨てて7年間放浪しているコリングス(ピーター・フォンダ)は、仲間のハリス(ウォーレン・オーツ)、ダン(ロバート・プラト)と一緒に西海岸を目ざしていたんですが、旅の生活に疲れを感じているんですな。そんな時、ダンが町のボスであるマクベイ(セヴァーン・ターベイ)に妻を襲ったと言いがかりをつけられ殺されます。それは、ダンの馬を手に入れようとしたマクベイの罠だったことを知ったコリングスとハリスはマクベイを銃撃。町を逃げ出したコリングスの気持ちは固まり、ハリスを同行して家に帰ります。コリングスは妻のハンナ(ヴァーナ・ブルーム)に過去を詫びますが、ハンナはコリングスを許すことができず使用人として納屋をあてがうのね。しかし、懸命に働くコリングスにハンナも心を開き、二人の生活に邪魔と考えたハリスは旅立ちます。コリングスが家族の幸せを守るために必死に働いている時、マクベイから切り取られたハリスの小指が届けられます。ハンナが引き止めるのもきかず、ハリスを救出するためにコリングスはマクベイの在所へ……
オーバーラップとスローモーションを多用したピーター・フォンダの演出は、ヴィルモス・ジグモンドの撮影と相俟って、静かな孤独ムードを漂わせた見事な映像美になっています。放浪する男たちが永遠のテーマになるのは、日本にはないアメリカ特有のものですね。特にニューシネマ全盛の70年代前半は、『真夜中のカーボーイ』『イージー・ライダー』『スケアクロウ』など男たちの友情と旅を扱った作品が目につきます。
寡黙なピーター・フォンダの演技もさることながら、主人公に理解をしめすウォーレン・オーツが良いねェ。10歳年上の妻役ヴァーナ・ブルームも真に農場の女で、グッドで〜す。