最初に凄いのを見せられると

nostalji2013-10-20

西部劇ビデオの『リオ・ロボ』(1970年/監督:ハワード・ホークス)を観る。南北戦争末期、北軍の金塊護送列車が南軍ゲリラのコルドナ大尉(ホルヘ・リベロ)に奪われます。このシーンが凄いのね。坂道のレールに油を塗って、機関車が空回りして動けなくなくなったところを待ち伏せした部隊が飛び乗り、金塊搭載車両に蜂の巣を投げ入れ、切り離します。護衛兵は蜂に襲われ、車両は逆走。暴走車両を両側の樹木に幾重にもはりめぐらしたロープで喰い止めようとするのですが、樹木をなぎ倒し、土埃もうもうの大迫力。『ベン・ハー』の戦車レースのシーンを撮影したヤキマ・カヌートが担当しています。ヤキマ・カヌートといえば、若い頃は西部劇スタントマンの第一人者で、伝説の人物なのであります。
輸送責任者のマクナリー大佐(ジョン・ウェイン)が奪われた金塊を取り返すべく追跡しますが、追手を次々に分散させていって、最後は自分ひとりになって、逆にコルドナに捕まります。いくら無敵のジョン・ウェインといえども、この演出は軽率ね。マクナリーとコルドナは旧知の間柄で、コルドナはマクナリーを盾に北軍戦線から脱出を図りますが、マクナリーの方が役者が一枚上で、北軍部隊の方へ誘導して捕まえます。この過程で、マクナリーはコルドナとの友情が深まり、南軍の若者タスカロラ(クリス・ミッチャム)とも知り合います。そして、北軍の情報を流していた裏切者が二人いたことを聞きだすのね。
南北戦争が終わり、故郷の町ブラックソーンに帰ったマクナリーは、若い娘シャスタ(ジェニファー・オニール)を連れ去ろうとする連中を止めようとして銃撃戦になり彼らを仕とめます。シャスタからリオ・ロボの町は、悪徳保安官(マイク・ヘンリー)が無法の限りをつくしており、シャスタはそれを知らせようとして命を狙われたのね。マクナリーは騒ぎを聞きつけたコルドナと偶然再会し、殺した男の中に裏切者の一人がいたことを知ります。タスカロラの祖父フィリップス(ジャック・イーラム)がリオ・ロボのボス(ビクター・フレンチ)に土地を奪われそうになり、それを阻止しようとしたタスカロラが保安官に捕まったことをコルドナから知らされたマクナリーはリオ・ロボの町へ……
ハワード・ホークス最後の作品で、『リオ・ブラボー』『エル・ドラド』と並ぶテキサス三部作と呼ばれています。主人公・相棒・若者・老人のセットが悪と戦うという設定が同じなんです。ディーン・マーチンロバート・ミッチャムと比べると、今回の相棒役ホルヘ・リベロは格下という感じは否めません。当初はロバート・ミッチャムを予定していたようですが予算の関係でキャストが代わり、脚本も変更されたようです。そのため、脚本が緻密でなく、クライマックッスに向けて盛り上がっていきません。人質交換は『リオ・ブラボー』の二番煎じでしたな。最初に素晴らしい景色を見せられた後、色あせた景色ばかりが続く観光ツアーに行ったようなものです。
画像は、ジョン・ウェインジェニファー・オニール。「何で俺の隣で寝たんだ?」「あなたは若くなくて、comfortable(慰安・気楽)だから」と言われてクサるウェイン。こんなユーモア、私は大好きで〜す。