隣国の認識は

nostalji2013-11-25

藤堂明保・竹田晃・景山輝國:訳注の『倭国伝』(講談社学術文庫:2013年4月12日第9刷発行)を読了。中国正史(後漢書三国志宋書・隋書・旧唐書新唐書・宋史・元史・明史)に記載されている日本について網羅したものです。書下し文・現代語訳・原文からなり、読んだのは現代語訳だけね。倭国だけでなく、半島の高句麗百済新羅についても記載されており、古代の半島情勢がなんとなく解ります。使臣などからの伝聞で、直接見聞したことじゃないので、100%信用はできませんが、国が認定した歴史書なので信頼はおけます。
古代は現在の日本=日本人、朝鮮=朝鮮人のように分けることができず、倭人朝鮮半島南部にまで居住しており、日本には倭人だけでなく、九州南部には隼人、関東・東北には蝦夷、北海道にはアイヌ、沖縄には流求といった、言語が異なる倭人とは違う種族がいた気がしますね。最終的には倭人同化政策によって全部日本人。半島も新羅が統一するまで、高句麗百済新羅は言語が異なる別種族だったような気がします。
三国志魏志倭人伝宋書は、邪馬台国や古代天皇に興味があったので、これまでにも何度も読んでいますが、宋史・元史・明史は初めて。明史のボリュームが大きく、読みでがありました。倭寇の記事が多く、明の朝廷が悩まされていたことがよくわかります。朝鮮出兵した秀吉については、かなりいい加減です。概略すると、「日本国にはもともと国王がいて、その下に“関白”と称するものがいて、山城州の主で関白だった信長が狩りに出た時、木の下で寝そべっていた男を気に入って召し抱えたのが秀吉。薩摩州人の奴隷出身だった。その後、秀吉は出世し、信長を暗殺した阿奇支(あけち)を討伐し、信長の子・信孝を廃して、自ら関白を僭称した。信長の手勢をすべて配下に収め、66州を征服し、琉球・呂宋・暹羅・仏郎機の諸国を脅かして朝貢させた。朝鮮を滅ぼして併合しようという野心をおこし……」といった調子で〜す。