初見の忠臣蔵

nostalji2013-12-18

録画していた時代劇『赤穂城』と『続赤穂城』を観る。東映(監督:萩原遼)が1952年に作った戦後最初の忠臣蔵です。勅使接待役に選ばれた浅野内匠頭片岡千恵蔵)は、持ち前の潔癖性から指導役の吉良上野介(薄田研二)に賄賂を送らなかったために苛めを受けます。毎度お馴染みの畳替えの件ね。国元の城代家老・大石内蔵之助(千恵蔵の二役)は内匠頭の性格を心配して千馬三郎兵衛清川荘司)に命じて書状を送りますが、心ない江戸家老のために内匠頭の手に渡りません。内蔵之助の心配通り、殿中で上野介に手酷い辱めを受けた内匠頭は刃傷におよび、即日切腹、御家断絶となります。薄田研二が憎々して上手いんだなァ。内匠頭切腹の報せが赤穂へ届いたところで続編へ。
内蔵之助は藩札を交換して領民を安心させ、今後のことを、家臣を集めて皆の意見をききます。籠城討死を主張する大高源吾(加賀邦男)、仇討を主張する堀部安兵衛河津清三郎)、他にも殉死や恭順と意見はバラバラ。内蔵之助は黙って聞いているだけ。籠城して幕府軍と戦うという噂が流れ、不破数右衛門(大友柳太朗)などの旧臣や幕府の隠密も城下にやってきて、内蔵之助の腹の内を探ります。命欲しさにさっさと赤穂を逃げ出す家臣も出てきます。城明渡しの使者が到着し、その時になって内蔵之助は初めて自分の真意を明かします。領民を戦火に巻きこまないために無条件で城を明渡し、家臣一同の血判で浅野家再興を懇願するというのね。「御家再興なき場合は?」という内匠頭の側近だった片岡源五右衛門月形龍之介)の問いに、内蔵之助は眼で答えます。月形と千恵蔵の無言の演技が良いんだなァ。源五右衛門が嘆願書に血判し、他の家臣も続きます。無血開城した赤穂城を、内蔵之助は秘めたる思いをもって立ち去るのです。
GHQの管理体制が1952年まで続いていた影響か、討入もチャンバラもない作品です。切腹の寸前、内蔵之助から届いた手紙を読んだ内匠頭が、領民あっての自分であったことを反省したり、内蔵之助が領民の生活を第一に考えて行動するのも時代の反映でしょう。
全体的に盛り上がりに欠ける内容ですが、出演者の時代劇らしい自然な着物姿や所作を観ているだけで楽しめましたね。ちなみに、瑤泉院山田五十鈴、大石りくは木暮実千代、主税は長門裕之で〜す。