ゲットしたままだった

nostalji2014-03-25

西部劇DVDの『砂漠の生霊』(1930年/監督:ウィリアム・ワイラー)を観る。銀行を襲った3人の無法者が砂漠に逃れ、放ったらかされた幌馬車の中で出産した女性に頼まれ、赤ん坊を町まで連れて行くというお話です。ピーター・B・カインの『三人の名付親』は5回映画化(サイレントで2回、トーキーで3回)されていて、私は1948年のジョン・フォード作品だけは観ています。本作品はトーキーによる映画化で、中でも一番の傑作と云われています。
ニューエルサレムの町の銀行を4人の無法者が襲い金袋を奪いますが、一人は射殺され、ボブ(チャールズ・ビッキフォード)・トム(レイモンド・ハットン)・ビル(フレッド・コーラー)の3人は砂漠に逃れます。砂嵐にあって馬を失い、水をもとめてさまよい、ほうり出されている幌馬車を見つけます。出産で苦しんでいる女性がいて、赤ん坊を生むと彼女は3人に名付親になってニューエルサレムの町まで届けてくれるように頼んで死にます。善良なる心が芽生えた3人は、赤ん坊を抱いて砂漠の中を町へ引き返すのね。灼熱の太陽と渇きの中で、赤ん坊に水をやるために、負傷していたトムが自ら命をたち、ビルが砂漠の彼方に死を求めて去り、最後に残ったボブも最後の力を振りしぼるため毒水と知りつつ飲んで喉の渇きをしのぎ、町の教会に赤ん坊を運んで息絶えます。
ウィリアム・ワイラーの演出は、甘いヒロイズムを排除した激しいタッチで、3人の男が厳しい砂漠を歩き続ける映像表現をしています。それと、トーキー初期の作品で、冒頭の酒場のシーンでは歌と踊りの音楽サービスがありますが、当時としては砂漠の風などの自然音や、ラストの鐘の音や賛美歌などによる音響効果もあったでしょうね。ウィリアム・ワイラーは監督5年目でしたが、非凡さがわかる作品で〜す。