大傑作ではないが

nostalji2014-05-30

西部劇の友人に教えてもらったパトリック・デウィット:著(茂木健:訳)の『シスターズ・ブラザーズ』(東京創元社:2013年12月10日再版)を読了。殺し屋のチャーリーとイーライのシスターズ兄弟が、提督と呼ばれる顔役から理由がわからぬまま山師ウォームを殺して謎のレシピを奪ってくるように依頼されます。オレゴンからゴールドラッシュのカリフォルニアまでの旅でのできごと、州境の町のボスとの戦い、そして採掘キャンプでの山師ウォームとの奇妙な関係と三部構成になっており、幕間の挿話をはさみ不思議な雰囲気を醸し出している西部小説です。特別に面白いストーリーとはいえませんが、訳者が良かったのか文章は読みやすかったです。
兄弟のアウトローぶりがイーライの視点(主観)から描かれることによって、残虐でグロテスクなこともユーモアとなって奇妙な味わいがあります。好き嫌いが分れるでしょうが、私は好きです。原書も同じなのか知りませんが、表紙が秀逸ですね。一見、月をバックにした兄弟のシルエットに見えて、月がドクロになっており、さらに月の模様が人の顔になっているんですよ。表紙デザインに関しては大傑作で〜す。