一瞬の緊張感

nostalji2014-07-07

録画していた時代劇『新吾十番勝負・完結篇』(1960年・東映/監督:松田定次)を観る。武田一真月形龍之介)を求めて四国に渡った葵新吾(大川橋蔵)は、人助けのために丸亀藩や蜂須賀藩とトラブルをおこします。そして、感情のままに相手を斬ってしまった自分の未熟さを知った新吾は、秩父に戻り剣の修行に励むのね。吉宗(大友柳太朗)から新吾との対面を相談された老中・酒井讃岐守(宇佐美淳也)は、江戸場内での御前試合を思案します。自源流代表の新吾は、柳生流の代表として出場する武田一真と立合うことになり……
舞踊のような大川橋蔵の立回りは、身体がクネクネしていてチャンバラ愛好家からは評判が悪いのですが、流れるような動きは見事なものですよ。私も橋蔵の立回りは好きでなかったのですが、客観的に見ると、足の運びや身のこなしがよく、華麗でテンポのよい橋蔵独特の立回りになっているんですね。重厚さや力強さといったものはありませんが、殺陣の上手いスターといえます。逆に重厚なのが月形龍之介ね。刀を構えて立っているだけで凄さを感じさせます。ラストの対決は、互いに隙がなく、動いた方が負けという状態で刀を構えて睨みあいます。最近は刀をやたらと振り回す殺陣ばかりですが、一瞬で勝負が決まるという緊張感もいいものです。現在では、それを見せることができる役者がいませんけどねェ。