時代劇にもグルメ世界が

nostalji2015-02-25

録画していた時代劇『武士の献立』(2013年・松竹/監督:朝原雄三)を観る。池波正太郎が諸作品の中で江戸時代のグルメを紹介し、高田郁の『みをつくし料理帖』のドラマ化などで最近の時代劇では何かと江戸時代の料理が再現されるようになりましたが、これは加賀藩の庖丁侍・舟木伝内と安信が残した「料理無言抄」をヒントにしたホームドラマ時代劇です。
物語の主人公は、加賀藩料理方の藩士・舟木伝内(西田敏行)に料理の才能を買われ、息子・安信(高良健吾)の嫁にと懇願されたお春(上戸彩)。お春は料亭の娘でしたが大火で両親をなくし、加賀藩主・前田吉徳の側室・お貞の方(夏川結衣)の女中をしていたんですな。お春の婿・安信は兄が死んで舟木家を継いだのですが、次男だったので剣術ばかりしていて、料理に興味はないのね。お春は姑(余貴美子)の力を借りながら、安信へ料理指導を始めます。元々血筋が良かったのか、安信は料理の腕がメキメキ上達していきますが、安信の心は満たされていません。そんな折、加賀騒動が勃発し……
物語前半のコミカルな部分と、加賀騒動が係る後半部分が巧くリンクしていません。饗応接待料理をクライマックスにしていますが、盛り上がらないんですよ。争いの虚しさを教える料理の奥深さが出ていません。お春と安信の夫婦物語だけじゃねェ。