映画史的興味から

nostalji2015-04-14

西部劇DVDの『スコオ・マン』(1931年/監督:セシル・B・デミル)を観る。ブロードウェイの人気舞台劇の映画化で、デミルはこの題材が気に入ったのか、3度も映画化しています。最初(1914年)の作品が一番有名で、舞台演出家だったデミルが映画化するにあたってロケ地を求めて西部にやって来たんですな。彼はロサンゼルス郊外で絶好の地を見つけます。現在のハリウッドね。天然光線が頼りだった当時の映画撮影において雨の降らない天国でした。当初デミルは、候補地としてアリゾナを考えていましたが天気が悪かったのね。映画は大ヒットし、デミルは映画界において辣腕をふるっていきます。
でもって今回観たのは、3度目の作品でトーキーによるリメイクです。イギリス貴族カーヒル家のジム(ワーナー・バクスター)は、従兄弟のヘンリーの慈善事業の公金使い込みが発覚しかけた時、密かに愛していたヘンリーの妻ダイアナ(エリノア・ボードマン)のために自分が罪をきてアメリカ西部へ逃亡。アリゾナで牧場主となったジムは無法者のキャッシュ(チャールズ・ビックフォード)からインディアン娘ナタリッチ(ルーペ・ベレス)を救います。ナタリッチはジムに恋し、ジムを殺そうとするキャッシュを殺すのね。キャッシュの無法者仲間に待伏せされて負傷したジムをナタリッチは看護し、回復したジムは彼女と結婚します。7年後、息子も生まれ平穏な生活をしているジムのところへダイアナがやって来ます。ヘンリーがキツネ狩りで落馬し、臨終の時に横領の罪を告白したので、ジムの潔白が証明されたことを報せにきたのね。カーヒル家を継ぐためにイギリスへ帰国するよう促しますが……
息子は文明生活に憧れ、夫はいまでもダイアナを愛していることを悟ったナタリッチは、7年前のキャッシュ殺害の証拠が見つかって保安官が逮捕しにくることもあって、自分がいなければ全てうまくいくと自殺。白人視点のご都合主義映画ですな。優越的位置から可哀相なインディアン娘を同情することで白人観客は満足するのね。白人男性と結婚したインディアン娘は死ぬという、西部劇の約束事がこの作品から出来上がったので〜す。