帰省途上で

nostalji2015-05-01

金重明:著の『物語・朝鮮王朝の滅亡』(岩波新書:2013年8月21日第1刷発行)を読了。物語と副題にありますが、史実の裏づけを基にしたノンフィクションです。
朝鮮王朝を滅ぼしたのは日本であることは紛れもない事実であり、滅亡させるにあたっては国民に危害を加えたことも事実。朝鮮支配をめぐって清国と争っていた時の方が、日韓併合以後よりも国民の犠牲は大きかったようです。
朝鮮王朝の歴史をみると、王権が強い時は実務的な改革が行われて国民が役人から搾取される負担が少ないのですが、官僚支配だと腐敗が横行して苦しむのは国民。イ・サンである世祖は、西洋技術を学ぶために天主教(キリスト教)を黙認、土地税制の改革などに着手しましたが急死により挫折しました。世祖以後は、貪欲な官僚の搾取により国民は疲弊にあえぎ、国力は衰退。気弱な高宗治世において、父親の大院君と妻の閔妃(明成皇后)との権力争いで政情は混乱します。閔妃は、頭は良かった(智謀家)ようですが、一族の繁栄だけしか考えず、宮中は混濁腐敗し、国民の困窮はひどくなる一方。閔妃が朝鮮王朝を滅ぼした元凶という気がしますね。
韓国時代劇は国民のために何かをしたという具体的な話は出てこず、権力闘争ばかりなのは朝鮮の歴史そのものなので〜す。