やっぱり傑作

nostalji2015-08-06

録画していた『緋牡丹博徒』(1968年・東映/監督:山下耕作)を観る。だいぶ前(20年以上になるかな)に観て以来の再見です。力作揃いのシリーズ全8作の中でも、やっぱり第1作が一番印象に残っていますね。
お竜さん(藤純子)の啖呵口上で幕を開け、白い牡丹がパッと緋牡丹に変り、シネスコ画面を2分割して出演者クレジットと賭場シーンが流れるタイトルは洒落ています。その賭場でイカサマを見破り、仕返しにきた一味に襲われたお竜を助ける片桐(高倉健)。そして、傷の手当てで見せる緋牡丹の刺青と、つかみ所は抜群です。
父が殺された現場に落ちていた財布を手がかりに、お竜は仇を求めて旅をしているのですが、片桐はその財布を見て顔色を変えます。お竜は一部始終を打ち明けますが、片桐は無言のままその財布を持って消えます。
父親を殺した犯人の顔を見ている子分のフグ新(山本麟一)が四国・道後で岩津(金子信雄)一家といざこざを起こし、熊虎(若山富三郎)一家と岩津一家が喧嘩騒ぎになっていることを耳にしたお竜は道後に向かいます。熊虎は子分の富士松待田京介)が賭場でお竜に救われたことから、フグ新を助けたんですな。お竜は喧嘩を治めるために岩津一家に単身乗り込み、岩津一家を訪れていた大阪・堂万一家の親分おたか(清川虹子)の仲裁で喧嘩が治まります。お竜の度胸に惚れたおたかの招待で、お竜とフグ新は堂万一家の世話になりますが、新興の千成一家が堂万一家の縄張を狙っており、おたかの息子・吉太郎(山城新伍)が拉致されるのね。吉太郎を救うために千成一家に忍びこんだフグ新は、千成一家の親分・加倉井(大木実)を見てお竜の父親を殺した犯人と気づきます。フグ新は加倉井の子分に斬られ、瀕死のところを片桐が救出。加倉井は片桐の弟分でしたが、日頃の悪行に兄弟分の杯を返します。フグ新は真相を語って死に、お竜は千成一家へ殴り込み……
加倉井は元武士で、小太刀の達人のお竜さんでも勝てないのね。片桐が加勢して、加倉井と刺し違えて死ぬんですが、お竜に言い残す言葉「お竜さんを人殺しにはしたくなかった」にはジンときます。藤純子のキリッとした情感ある演技もさることながら、傍役人も皆好演。笑いあり、涙ありの最良の娯楽映画で〜す。