プロデューサーから見た映画史

nostalji2016-02-13

帰省の新幹線で読みかけだった日下部五朗:著の『シネマの極道』(新潮文庫:2015年11月1日発行)を読了。1970年代〜90年代にかけて、“仁義なき戦い”や“極妻”などの人気シリーズを送り出した東映プロデューサーの半生記です。監督や役者の手記は多くありますが、一癖も二癖もある監督・脚本家・スターを束ねて映画作りをするプロデューサーの視点で見た映画の話は面白かったですね。
日本映画の父と呼ばれるマキノ省三は“一スジ、二ヌケ、三ドウサ”を映画製作の三大原則としていました。私流に解釈すると、一番は物語性および脚本の出来ね。日下部氏も 「良い脚本でも失敗することはあるが、悪い脚本から成功することはない」と言っており、130本以上の映画にプロデューサーとして関わった著者だけに重みがあります。
映画史としては、東映全盛期から衰退した現在までの、映画製作の実情がよくわかります。社員プロデューサーの限界もね。テレビ局から金を出してもらわないと映画が作れない現状では、オリジナリティのある映画が作れないというのには納得で〜す。