時代的に

nostalji2016-03-12

友人が送ってくれたDVD『あにき』を観了。TBS系列で1977年(10月7日〜12月30日)に放送された高倉健が主演した唯一の連続テレビドラマ(全13回)です。
主人公の神山栄次(高倉健)は何代も続く鳶職“神山組”の頭で、少し荒っぽいところがありますが昔気質の律儀な男。妻と死別した後は独身を通しており、妹のかい(大原麗子)が栄次の世話をしています。近所の理髪店に勤務し、気は優しいがいまだに独身。栄次も気にかけているものの手放せない状態ね。自分の家も含めて地域の土地を所有していた岡村商会の主人が急死し、岡村商会が多額の負債を抱えていたことから地域一帯の立ち退き問題からドラマが始まります。悪質な地上げ屋が住民を脅すとなれば任侠映画の世界ですがそうはなりません。登場人物が皆好い人なんですよ。
健さんをはじめ、田中邦衛春川ますみ島田正吾滝田ゆう倍賞千恵子秋吉久美子など出演者は持ち味を出していましたが、倉本聰の脚本は舌足らずで理解に苦しむところがあります。後半で心の深層部分がわかっていくのかと思いきや、後半は唐突的な展開で完全に失速しています。健さんのファンだった私ですが、仕事が忙しかったこともあって(ビデオもなかった時代で)リアルタイムでは数回しか観ていません。カミさんも私がいない時は他の番組を観ていたようで視聴率はかんばしくありません。
1977年といえば、『八甲田山』が6月に、『幸福の黄色いハンカチ』が10月に公開されていますが、当時は健さんの魅力だけではドラマの内容を補うほど視聴者を引きつけることはできなかったようです。今ではカミさんも健さんのファンですが、この頃は任侠映画のスターだったというイメージしか持っていなかったと言っています。ワン・オブ・ゼムね。テレビ視聴の中心だった女性の大半は任侠映画なんて観ていないんですよ。『日本侠客伝』や『昭和残侠伝』に女性客は少なかったものなァ。