当時でもヘンテコな映画

nostalji2016-04-15

友人が送ってくれた『アマゾン無宿 世紀の大魔王』(1961年・ニュー東映/監督:小沢茂弘)を観る。
世界中の賭博市場が不況になり、世界中のギャングたちは日本に目をつけます。ラスベガスのカジノのオーナーたちに雇われたのが国定忠治の血をひくというゴールドラッシュの熊吉(進藤英太郎)で、パリからはマルセイユ生まれで祖母が芸者ガールだったというスペードのジャック(江原真二郎)が、そしてブラジルからアマゾン無宿の源次(片岡千恵蔵)が日本に帰ってくるのね。香港の麻薬王・龍源昌(月形龍之介)は日本の賭博場を一手に握るために配下の本屋敷(三島雅夫)の賭博場を根城に悪だくみを着々と進めます。本屋敷の賭博場に現れた源次、熊吉、ジャックの三人は互いの腕前を見せ合い、龍の用心棒として雇われます。龍は麻薬取引先である西園寺(小沢栄太郎)の資産を奪うために西園寺の部下である橋爪(山本麟一)を裏切らせて殺害。西園寺の部下・進次(梅宮辰夫)と西園寺の娘・秀子(三田佳子)も龍に狙われますが、源次とジャックが二人を救出します。龍の秘書・玉琴(久保菜穂子)は恋人を龍に殺されたことから龍を狙いますが失敗し、キチガイとして精神病院へ。源次は狂人を装って精神病院に潜入し、玉琴を救い出し玉琴の妹・道子の牧場へ連れていきます。逆らう組長(阿部九洲男)を殺し、日本の賭博場を独占することに成功した龍は新しい賭博場を開きますが、世界各地からギャングが集合。源次たちも乗り込み大銃撃戦となり、実はインターポールの刑事だったジャックが警官隊を引き連れて現れ、悪党たちは壊滅します。
ニュー東映は、1960年3月にスタートした第二東映を61年2月に社名変更したものです。第二東映は、時代劇で確固たる地盤を築いていた東映が現代劇を発展させるために別系統として設立。狙いは現代アクションで躍進してきている日活への対抗でした。当時の健さんや梅宮辰夫、千葉真一といった若手では日活の牙城は崩せず、御大・千恵蔵を担ぎ出してきたのね。気があいながらも反発する千恵蔵と進藤英太郎が、対立を繰り返しながらも最後は手を組むという構図は、小林旭宍戸錠のコンビによる一連の作品に似ています。だけどアクションは雲泥の差。千恵蔵は二挺拳銃をやたらブッ放すだけ。頭を振って銃弾をよけるのはお笑いです。おまけにギター片手に歌った(吹替えでしたが)のにはズッコケました。61年は西部劇ブームで、この作品にもOK牧場ならぬ大木牧場が出てきます。日活では大川牧場が出てきたなァ。現在の視点では完全なおふざけコメディとして楽しめますが、当時の観客は戸惑ったでしょうね。日活ファンからは馬鹿にされ、東映ファンにはソッポをむかれて、ニュー東映は1年ももたずに11月に幕を下ろしま〜す。