観てから読んだ

nostalji2016-05-12

マイケル・パンク:著(漆原敦子:訳)の『レヴェナント』(ハヤカワ文庫:2016年3月20日第3刷発行)を読了。映画『レヴェナント:蘇えりし者』の原案となった小説です。小説といっても著者の綿密な取材で実話に近いものですけどね。そのため、映画のようなドラマチックな展開はありません。
灰色熊(グリズリー)に襲われて瀕死の重傷を負ったヒュー・グラスは、彼の世話をするために残った二人の仲間に一切の持ち物を奪われ置き去りにされます。何とか命をとりとめたグラスは、怒りをエネルギーに変え、過酷な自然の中で生き延びていきます。
日本でも子連れクマに遭遇してケガをするケースが増えていると今日の新聞に出ていましたが、グラスも子連れの巨大な熊に襲われるんですね。襲われながらもライフルとナイフで熊を倒したグラスですから生命力も強く、ウサギを飲み込んで動きが緩慢になっているガラガラ蛇を石で殺して食料にするところからサバイバル開始です。グラスは這うことしかできず、蛇に気づかれないように近づく描写は緊迫感があります。全体の半分以上を占めるサバイバル描写は圧巻です。主人公の心理描写も含めて、映画では味わえない奥深さがありました。
西部劇が好きで、西部開拓時代に興味を持っている私としては、実話を背景にしたリアリティに満足で〜す。