トンデモ時代劇だが

nostalji2016-06-23

テレビ時代劇『琴姫七変化』DVDボックスの「喧嘩雛(前・後編)」と「長屋騒動(前・後編)」を観る。
「喧嘩雛」は、琴姫と水戸の徳川斉昭が老中・水野忠邦の不正を暴く物語。琴姫(松山容子)は徳川斉昭(松本錦四郎)と父親同士がかってに決めたお見合いをすることになりますが、衝立をはさんで互いに顔を合わせることもなく、口喧嘩をして別れます。その頃、町では水野忠邦(片岡市女蔵)が発した贅沢追放令により紋付を着ていた辰五郎(秋葉浩介)が役人に捕まり留置所へ。鳥追い女に変装して町に出た琴姫は、奴姿に変装した斉昭と出会い、互いに素性を知らないままに贅沢追放令の陰で私腹を肥やす水野忠邦の悪事を暴きます。
徳川斉昭水野忠邦も実在の人物です。斉昭は最後の将軍・慶喜のお父つぁんで、水野忠邦は“天保の改革”をした人ね。“天保の改革”は流通経済の混乱を招いて結局は失敗することになるのですが、琴姫に斬られて死にはしませんよ。韓国時代劇のような世界ですが、韓国時代劇は50年以上前の日本の時代劇と同じ歴史観なのです。
「長屋騒動」は、琴姫が悪事に誘われる島帰りの男を助ける物語。琴姫は城の生活に飽きて辰五郎の長屋で暮らし始めます。そこへ島送りになっていた紋次(名和宏)が長屋に戻ってきますが、長屋の連中は冷たい態度。琴姫が紋次と長屋の連中との仲を取りもつのね。紋次の昔の仲間が、紋次の錠前破りの腕を見込んで押し込みの誘いにきますが……
名和宏は、後年、東映任侠映画の悪役として活躍しますが、デビューは松竹時代劇でした。松竹は女優中心の大船撮影所の映画が主力で、京都撮影所の時代劇は通俗的な娯楽作品として地方の映画館用の数合わせに過ぎませんでした。そのため、スターの育成や作品に力を入れておらず、60年代には営業的にも低下していきます。高田浩吉近衛十四郎のようなスターは他社に移り、名和宏のような二番手組はテレビに出て行ったので〜す。