信玄も謙信も惚れる

nostalji2016-07-07

テレビ時代劇『月姫峠』DVDボックスの「新月抄(全2回)」と「赤い塩(全2回)」を観る。
新月抄」は、月姫木曽義昌と義昌の娘・霧姫を武田軍から救う物語。木曽福島にやって来た月姫松山容子)は武田の巡察隊にとがめられ、従者の無双丸(石倉英彦)が傷を負います。木曽福島城は落城しており、医者(田中春男)のいる定勝寺へ行くと、城から落ちのびた木曽義昌(市川男女之助)と娘の霧姫が隠れていたのね。霧姫の身柄を要求する武田軍に対して月姫は、二人のために霧姫に化けて武田信玄(坂東春之助)の本陣に乗り込みます。
木曽義昌武田信玄に降伏したのは15歳の時だから、霧姫のような娘はいるはずがありません。それどころか、義昌は信玄の娘を正室にしているんですよ。NHK大河『真田丸』にも登場しています。でもって『月姫峠』ですが、真摯で豪胆な月姫に惚れ込んだ信玄は義昌父娘を許すのね。そして、月姫に敵対する鬼東一族に不信感を持ちます。出演者では、クレジットされていませんが、栗塚旭が義昌の家臣役で出ていました。
「赤い塩」は、月姫上杉謙信武田信玄を和解させる物語。鬼東左馬允(出水憲司)の兵士に襲われている行者を月姫が救います。その行者は将軍・足利義輝で、川中島で対峙している上杉謙信武田信玄の戦を止めるために密かに行動していたのね。傷を負った義輝の代わりに月姫が義輝の密書を届けることになります。途中で塩不足に苦しむ信濃の民が、信玄のもとに塩を運ぶ左馬允に少しの塩を恵んでくれることを懇願しますが、これを斬殺。月姫が見かねて姿を現し、左馬允たちが月姫を追っている隙に農民たちが塩を全て奪い去ります。月姫は謙信(福山博敏)の本陣に乗り込み……
真摯で豪胆な月姫に惚れ込んだ謙信は信玄と和解することを了承し、月姫の進言を受け入れて甲斐と信濃の民へ塩を送ります。鬼東義銀(香川良介)と左馬允は信玄に改易され、信濃の民へ塩を運ぶ月姫を襲撃。しかし義銀は月姫を狙って投げた左馬允の刀が刺さって死に、左馬允は川に飛び込んで逃げます。月姫は白鳥郷には戻らず、寝覚の弥十(天野刃一)と無双丸(石倉英彦)を連れて旅を続けます。
前話(木曽義昌武田信玄に降伏)が1555年の事なので、1557年の川中島第3次合戦(信玄と謙信が激突する有名な川中島合戦は第4次合戦ね)が舞台です。謙信の上洛を熱望していた足利義輝が信玄と謙信に和睦を勧告する御内書を送ったのは史実です。それにしても、謙信が信玄に“敵に塩を送る”という有名な故事が月姫の進言だったとはねェ。