帰国

nostalji2016-10-16

1時50分シンガポール出発し9時50分に羽田着。旅行中に、オムニバス時代小説『剣聖』(新潮文庫:2008年10月1日発行)を読了しました。
『剣聖』には、池波正太郎の「上泉伊勢守」、津本陽の「一つの太刀」、直木三十五の「宮本武蔵」、五味康祐の「真説・佐々木小次郎」、綱淵謙錠の「刀」が収録されています。「一つの太刀」は塚原卜伝で、「刀」は柳生石舟斎の物語ね。「一つの太刀」は『塚原卜伝十二番勝負』の中の一編で、既読でした。直木三十五の作品は現在では読む機会が少ないので楽しめましたね。直木三十五は“武蔵非名人説”を唱え、この作品でも剣聖らしきところは描かれていません。吉川英治のバイアスがかかる以前の武蔵像がわかるのが面白いです。
五味康祐の「真説・佐々木小次郎」は、吉川英治村上元三の小次郎と違って70過ぎの老人。富田勢源の弟子だった若き日を中心に描いています。巌流島の武蔵との決闘で鞘を波間に捨てたのを肯定しています。まず鞘を持っては闘えない、砂浜に捨てれば砂が入って刃を痛める、ゆえに波間に捨てたのね。五味康祐も武蔵に関しては否定的で〜す。