古典時代劇

nostalji2016-10-19

友人に頼んで送ってもらった東映時代劇『牢獄の花嫁』(1955年/監督:内出好吉)を観る。ボアゴベイの探偵小説『死美人』を吉川英治が翻案したミステリー時代劇です。戦前に阪東妻三郎主演で映画化されており、そのリメイク版ね。
名与力だった塙江漢(市川右太衛門)の部下の同心・加山(加賀邦男)と波越(沢田清)が、葛籠に入れた女の死体を運ぶ聾唖の男・岩松(吉田義男)を捕らえます。女は左手の中指を切りとられており、加山の上司・東儀(原健策)が隠居している江漢に相談。江漢の助言で、岩松を放して後をつけ、笛指南・由紀の家に踏み込んでみると、男の斬殺死体があります。この現場に大阪天満の与力・羅門塔十郎(市川右太衛門の二役)が現れ、証拠のおぼしい笛と印籠を発見。それは、江漢の息子・郁次郎(伏見扇太郎)のもので、その中から次の殺人を予告する密書が出ます。予告通り、八幡の境内で巫女・月江(長谷川裕見子)が左手の中指を切りとられて殺され、現場に郁次郎がいたことから犯人として捕らえられます。江漢は牢中の郁次郎に会いますが、許婚者の花世(田代百合子)が事件に関係あるともらすだけ。花世の左手の中指の爪が黒いことから、殺された二人と花世は姉妹で、さる大名家のご落胤とわかります。江漢は花世を囮に犯人に罠をかけますが……
何も二役の必要性はないのですが、阪妻も善玉と悪玉の二役をしており、右太衛門も阪妻に対抗したかったんでしょうね。それに、捕り方相手の大立ち回りも見せ場になっていますからね。それにしても右太衛門の演技は臭いなァ。だけど、全体を覆う古典時代劇の様式で、違和感はありませ〜ん。