今度は

nostalji2016-10-27

友人に送ってもらった東映時代劇『黄金の伏魔殿』(1957年/監督:佐々木康)を観る。吉川英治の伝奇時代小説『有明無明』が原作です。吉川英治といえば『宮本武蔵』や『新・平家物語』などの大河小説が有名ですが、昨日のジュビナイルや本日の伝奇物なども数多く残しています。
江戸の両替商が次々に襲われ、現場に残された銀煙管から幕府勘定勝手方の北条貢(市川右太衛門)が犯人として捕まります。しかし、貢は冤罪をはらすために監禁されていた権堂弥十郎宇佐美淳也)の屋敷から逃亡。弥十郎は貢が逃亡のおりに何者かに殺され、息子の九馬之丞(北大路欣也)が、同心・逆井(加賀邦男)、目明し・亥之吉(徳大寺伸)と貢を追います。貢の娘・菊乃(植木千恵)は雲水となった貢の親友の小梨(吉田義夫)に助けられ、妻・鶴江は藤懸(原健策)に匿われますが、横恋慕した藤懸に手籠めにされかかり逃亡。貢は越後橋立鉱山で、貢の後任として勘定勝手方となった藤懸、金座役人の後藤(香川良介)、実行犯の小原(阿部九洲男)が両替商から奪った小判を改鋳している証拠をつかみます。そして、彼らの背後には江戸町奉行・鳥居燿蔵(坂東蓑助=8代目三津五郎)がいることをつかみ、大目付・神尾山城守(大河内伝次郎)に知らせるために江戸へ。途中で鶴江と菊乃に巡り合いますが、鶴江と菊乃は小原に捕まります。鳥居燿蔵は貢を誘き出すために二人を谷中天王寺で処刑しようとしますが、そこに大目付の命を受けた貢が現れ……
右太衛門と欣也の親子共演です。娘役の植木千恵は片岡千恵蔵の娘ね。吉田義夫が珍しく善人役でした。貢が商人の娘(丘さとみ)を救ったり、九馬之丞が父の仇として貢を狙ったり、鶴江が逃亡の際に失明したりと、波乱万丈の物語を加藤泰が90分に上手く脚色しています。佐々木康は流れに乗って演出している感じですね。余計なことを考えずに楽しむ作品で〜す。