妖怪登場

nostalji2016-12-10

友人に頼んで送ってもらった東映時代劇『風小僧』の「風流河童剣」と「流星剣の舞」を観る。
「風流河童剣」(1960年5月17日公開)は、風小僧が日照りの妖術を使って農民を苦しめる河童を退治する物語。磐城の国が日照りとなり、城主の小六(山城新伍)は、河童の祟りを怖れる家老・上月左門(団徳磨)が止めるのもきかず、風小僧となって八田陸斎(佐橋敏一)・玉緒(光美知子)・久太(山本順大)と河童沼の水門を開きます。水飢饉を防ぐために用水堀を作ることにしますが、謀反を企んでいた作事奉行が河童仙人(南方英二)と結託し……
人間が河童に化けているのかと思いきや、ホンモノの河童という設定にアングリ。いくら子供向け時代劇といってもねェ。南方英二だけでなく山根伸介も河童仙人の手下の河童役で出演しており、二人の掛け合いは、後年のチャンバラトリオの芸ですな。チャンバラトリオといえは、農民役で伊吹太郎も出演しています。山根の河童に襲われる役で、これもチャンバラトリオの芸を想起させます。山根と伊吹は漫才が好きで、素人が応募するラジオの演芸番組に出たりしていたのですが、東映催事の余興で、『風小僧』の殺陣師である谷俊夫が加わってお笑い殺陣を見せたのがチャンバラトリオの原型とのこと。谷は本業の殺陣師の方が忙しく、参加できなくなって目をつけたのが、立回りの上手い南方で、山根と谷がくどいて加入させました。このエピソードのコミカルな演技と、ラストでの薙刀を持っての山城新伍との立回りは見事なものです。山根・伊吹・南方は63年に東映を退社し、チャンバラトリオを結成したのです。
「流星剣の舞」(1960年5月24日公開)は、風小僧に化けて悪事を働く一味を風小僧が成敗する物語。かつて風小僧に滅ぼされた悪領主の娘・手古奈(藤波英子)が妖術を使って手下を風小僧に化けさせ、商家を襲います。風小僧の評判はガタ落ち。風小僧は八田陸斎・玉緒・久太と偽者退治に乗りだしますが、城下の人々が間違えて本ものの風小僧を捕らえようとしたことから……
山城新伍は本モノと偽モノの二役なんですが、嫌らしい偽モノは後年のチョメチョメ山城新伍で〜す。