未見の沢忠作品

nostalji2017-01-05

友人から送ってもらった東映時代劇『間諜』(1964年/監督:沢島忠)を観る。沢島忠の作品はどれも一味違っていて目が離せません。
阿波蜂須賀藩の陰謀を探知した幕閣は、南新九郎(内田良平)・佐々木忠行(緒形拳)・松山征四郎(松方弘樹)の3人を間諜として派遣。第1の目標は行方不明になっている間諜・吉岡を見つけ出すこと。吉岡が賭場から藍工場に向かって姿を消したことをつかみ、南は遊び人として賭場へ、佐々木は職人として藍工場へ潜入します。蜂須賀藩では勘定奉行・波藤隼人(天津敏)の指揮のもとに武器弾薬が密かに製造されており、阿波踊りの混雑を利用して諸藩と密貿易をしようとしていたんですな。火薬庫の爆破に成功するものの、佐々木は爆死。南と松山は山中にある火薬工場の爆破に向かいますが……
“007”のヒットにより、スパイブームが起こりはじめ、“007”の時代劇版を会社から要請されて作った作品です。黒装束の忍者が天井を走ったり木に跳びついたりする従来の忍者映画でなく、あくまでスパイ時代劇ね。十字手裏剣や巻菱のような忍び道具は出てこず、使うのはキセル型とび出しナイフ・三味線ライフル銃・40センチ筒に仕込んだ鎖と刃・匕首の鞘に入った短筒といった現代的秘密兵器です。大映の“忍びの者”シリーズのような陰惨な暗いものでなく、明るく痛快な作品になっていま〜す。