未見の忠臣蔵作品

nostalji2017-01-06

友人から送ってもらった東映時代劇『ほまれの美丈夫』(1956年/監督:伊賀山正徳)を観る。講談でお馴染みの“がまんの詫状”を題材にしたものです。
スリに簪をすられた石村佐兵衛(高松錦之助)の娘・お妙(三笠博子)を救った神崎与五郎(伏見扇太郎)はお妙と相思相愛になりますが、主君の仇を討つ日を待つ身。大石内蔵助の江戸下りが決まり、与五郎も旅立つ決意をします。病弱な母(松浦築枝)は与五郎に心配をかけさせないために自決。お妙に別れの挨拶にきた与五郎を佐兵衛は門前払いしますが、お妙の愛が深いのを知り、お妙と後を追います。浜松宿で馬方の丑五郎(進藤英太郎)に絡まれ、あまりの無礼に刀の柄に手をかけますが、仇討本懐をとげるまでの辛抱と、丑五郎に詫証文を書くんですな。それを目撃していた佐兵衛は、与五郎が何か大事を成そうとしていると気づき、娘お妙に与五郎をあきらめさせます。討入は成功し、赤穂浪士は大評判。講釈師・赤松龍山(一竜斎貞山)の名調子を聞いて丑五郎は自分が辱めたのが赤穂浪士だと知って恥じ入り、坊主になります。与五郎の墓参に泉岳寺に行くと、お妙も来ており……
物語の合間々々に松平国十郎天津羽衣浪曲が入り、劇中では一竜斎貞山の講談が演じられる古典的時代劇です。切腹の後の話へ続くエピソードのためか、数ある“忠臣蔵”作品でも、“がまんの詫状”が扱われることはありませんね。映画の出来ばえはともかくとして、忠臣蔵ファンには話のタネになりま〜す。