懐かしの東映娯楽版

nostalji2017-01-28

友人から送ってもらった東映時代劇『神州天馬侠(全二部)』(1958年/監督:大西秀明)を観る。原作は、吉川英治が『少年倶楽部』に1925年から1928年に連載したジュニア向け大人気伝奇時代小説です。戦前も何本か映画化されていますが、戦後は当該作品の他に、52年に大映が、54〜55年に新東宝が四部作で映画化しています。
穴山梅雪瀬川路三郎)の裏切りで織田・徳川の連合軍に武田家は滅ぼされ、勝頼の遺児・伊那丸(沢村精四郎)は加賀美忍剣(五味龍太郎)と脱出し、武田の家宝・御旗盾無しの鎧を富士山麓・白旗の宮の湖に隠します。二人は人穴城の呂宋兵衛(吉田義夫)たちに襲われて別れ別れになり、伊那丸は呂宋兵衛の妖術によって捕まります。城主の小角(中村歌之介)は徳川の追手から伊那丸を匿いますが、家康(柳永二郎)の恩賞に目がくらんだ呂宋兵衛が謀反。小角は殺され、伊那丸は小角の妹・咲耶子(円山栄子)と脱出します。亡き信玄の友人だった果心居士(薄田研二)から伊那丸を助けるように命じられた木隠竜太郎(尾上鯉之助)は忍剣と出会い、二人は伊那丸と再会。浜松で家康の軍勢に囲まれた伊那丸一行を、武田の遺臣・巽小文治(里見浩太朗)が助けに現れます。果心居士は弟子の竹童(植木基晴)を大鷲クロに乗せて伊那丸救出に向かわせ、クロは伊那丸を掴んで大空高く飛びますが、鉄砲で撃たれて伊那丸は海中へ……(第一部)
伊那丸は海賊・竜巻九郎右衛門(青柳竜太郎)に捕まり、穴山梅雪に引き渡されます。梅雪の配下として潜入していた小幡民部(小柴幹治)は竜巻を成敗し、策をめぐらして梅雪を白旗の宮へ案内。民部の連絡を受けた忍剣・竜太郎・小文治それに武田の遺臣・山県蔦之助(南郷京之助)が加わり白旗の宮で待ち伏せ。伊那丸を助け出し穴山梅雪を倒します。御旗盾無しの鎧を狙って現れた呂宋兵衛一味を大鷲クロに乗った竹童が爆撃。咲耶子も駆けつけ、呂宋兵衛を倒してメデタシ、メデタシです。
南蛮幻術を使う呂宋兵衛、悪謀をめぐらす穴山梅雪、それに徳川軍を相手に、等身大の鉄棒を振りまわす怪力夢想の忍剣、電光石火の剣技がひかる竜太郎、槍の達人・小文治、弓の名人・蔦之助、甲州流軍学家の民部、大鷲に乗って空を飛ぶ竹童、千里眼の術を使う果心居士が伊那丸を助けて戦いを繰り広げる波乱万丈の物語で、この手の集団ヒーローものは若手の登竜門になっており、歌舞伎界からスカウトされた沢村精四郎(現:澤村藤十郎)の初出演・主演作でした。
里見浩太朗はデビュー2年目。歌舞伎や日舞出身が多い時代劇スターの中にあって、ニューフェース(第3期)出身です。悪役としてのイメージが強い五味龍太郎も、高倉健と同期(第2期)のニューフェース出身で、当時は五味勝之介の芸名でした。南郷京之助は日舞出身。今イチ地味な存在で62年に映画界から引退しています。植木基晴は片岡千恵蔵の息子で子役として活躍しましたが、学業に専念するために翌年引退していま〜す。