西部小説なので

nostalji2017-03-04

『邪神決闘伝』の後書きで存在を知った菊地秀行:著(ソノラマ文庫)の、『異西部の剣士』(1986年3月31日初版発行)、『アリゾナ剣銃風』(1987年3月31日初版発行)、『無法街決闘伝』(1988年4月30日初版発行)からなる“ウエスタン武芸帳(三部作)”を、ネットでゲットし読了。現在の世界とは別の世界(パラレルワールド)を舞台にしたSF西部小説です。
1875年、この世界ではフランスの軍備を背景に幕府軍が倒幕軍を破り、坂本龍馬アメリカに逃亡。龍馬捕縛を命じられた新選組は、龍馬の恋人・お小夜を囮に、沖田総司たち5人(斎藤一山南敬助永倉新八原田左之助)がアメリカに渡り、サンフランシスコの魔窟チャイナタウン→魔境グランド・キャニオン→無法の町トゥームストンへと冒険の旅を続けます。
著者の菊地秀行は、1949年9月25日生まれですから、テレビ西部劇に始まる西部劇ブームにモロに影響を受けた年代。著者自身があとがきで語っているように、テレビ・映画だけでなく、映画とは直接関係ない西部開拓の歴史や大事件、有名な決闘、ガンマンの逸話、カウボーイやインディアン等の生活を記した“西部特集号”の雑誌や本を貪り読んだとのこと。小説を書きはじめ、何とかやっていけそうだと感じたとき、自分なりの西部劇をやってみたいと思って発表したのが、このシリーズです。
売れなきゃ困るわけで、巨大サソリにティラノザウルスが西部の荒野をうろつき、廃棄された騎兵隊の砦はサイボーグ・タイプというトンデモ西部劇になっていますが、モーガン・アープのファニング描写が『荒野の決闘』のワード・ボンドそのままだったりして、西部劇に捧げるオマージュも多々あります。坂本龍馬の行方はわからず、続きを予定していたようですが、結局売れなかったようで〜す。