スケールアップ

nostalji2017-04-19

本日も東映時代劇『はやぶさ奉行』(1957年/監督:深田金之助)を観る。シリーズ8作目で、この作品から総天然色・東映スコープになりました。金さんだけでなく、鼠小僧も加わって悪党退治です。
見世物小屋で大工が殺され、目撃していた女芸人も殺されるという事件が起きます。大工の棟梁・藤兵衛(高松錦之助)の家に居候している金さん(片岡千恵蔵)は、捕り方に追われて逃げ込んできた鼠小僧(大川橋蔵)と意気投合。藤兵衛が仕事に出て一ヶ月も連絡がないと娘のお景(千原しのぶ)から知らされた金さんは、殺された大工が死に際に残した言葉から六郷筑前守(市川小太夫)の家老・虎姫弥左衛門(柳永二郎)の屋敷に忍び込みます。六郷藩は将軍の日光参詣のおりに休息する仮御殿の造営を命じられており、腕のたつ大工を集めていましたが……
妹が将軍の愛妾であるのをいいことに陰の権力者となっている長岡有楽斎(進藤英太郎)が、妹の子を将軍にするために吊天井で将軍暗殺を計画しているんですな。有楽斎のモデルとなったのが中野石翁。石翁は11代将軍・家斉の側用人として仕え、養女は家斉の側室。家斉が家慶に将軍職を譲ると隠居しますが、大御所・家斉の話し相手となったことから、諸大名や幕臣、商人から莫大な賄賂を受け取り、贅沢三昧。家斉が死去し、水野忠邦天保の改革によって失脚しました。このシリーズでは本作の他に、『喧嘩奉行』の白翁、『海賊奉行』の雪翁、『ご存知 いれずみ判官』の雪翁と、4度も黒幕として登場します。それと、宇都宮の吊天井も、型を替えて東映時代劇には何度も出てきますなァ。