歌は下手だが

nostalji2017-09-04

友人から送ってもらった気になる映画『殺し屋人別帳』(1970年・東映/監督:石井輝男)を観る。渡瀬恒彦の初主演作で、彼が歌う主題歌(さすらい人別帳)は聴いて知っていたものの未見だったのでね。
殺し屋の黒岩(田崎潤)は、浦波興業から依頼された敵対する組長を宇野木(小池朝雄)と次々に殺し、さらには浦波と相棒の宇野木まで殺し、浦波興業を乗っ取って黒岩組を結成。長崎に進出して龍神組の縄張りを狙います。長崎にやって来た流れ者の真一(渡瀬恒彦)は、黒岩の娘・ミッチー(小川ローザ)と知りあったことから黒岩組の客分となり、黒岩組と龍神組の抗争に巻き込まれるのね。龍神組の組長・統一(吉田輝雄)は堅気の仕事を目指しており、黒岩組の挑発に我慢しますが……
渡瀬恒彦の初主演作とあって、新人スターを育てる手腕が見込まれて石井輝男が起用されたようです。最初はドライなハードボイルドで始まり、長崎に舞台を移してからは“網走番外地”。それも『望郷編』です。高倉健的存在は伊吹吾郎ですが出番は少なく、事件を目撃する少女(太田ナオミ)との絡みは渡瀬恒彦が受け持っています。最後に殺し屋(佐藤允)と決闘するのは渡瀬ね。杉浦直樹の「七つの子」の代わりに、佐藤允は「フランシーヌの場合」のメロディを口笛で吹きます。嵐寛寿郎が鬼寅役で出てくるのは御愛敬。全体的にコメディ調で愉しさはあるのですが、物語としてのバランスが崩れており、内容的には褒められたものではありませ〜ん。