児童向け小説

nostalji2017-10-15

CDを聴きながら、都筑道夫:著(日下三蔵:編)の都筑道夫少年小説コレクション6巻『拳銃天使』(本の雑誌社:2005年12月15日初版発行)を読了。都筑道夫が児童向け雑誌に掲載した冒険小説を収録したものです。
表題の「拳銃天使」の他、「拳銃仮面」「透明人間がやって来た」「六年すいり組」「青ざめた道化師」「どろんこタイムズ」「黒いおじさん」「空港に乱舞するハト」「コールサインX」「黄色いガン・ベルト」を収録。お気に入りは、「拳銃天使」と「黄色いガン・ベルト」ね。
「拳銃天使」は、『少年マガジン』に1959年8月16日号〜12月13日号に連載された日活無国籍アクション風の小説です。南米の牧場で育った若者が愛馬をつれて日本にやって来るんですな。事件に捲き込まれた少年を助けて悪党退治。拳銃を悪いことに使う連中をこらしめるために神さまが拳銃を正しく使う拳銃天使として主人公を遣わしたのね。カウボーイハットに腰のガン・ベルトには二挺拳銃。普通に考えたらアブナイ人と思うのですが警察も納得して味方するのです。
「黄色いガン・ベルト」は、『中学生画報』に1961年4月号〜6月号に連載された西部小説ですが、『中学生画報』が廃刊になったため、未完となっています。内容は、幌馬車がインディアンに襲われ、サム・コルトが作った新式6連発銃を撃ったベンは銃が暴発して片腕を失います。両親は死に、救援をもとめに行った弟のルークは行方不明。ベンは父の形見の黄色いガン・ベルトをつけてサム・コルトに復讐するためにテキサスに現れます。コルトの命を狙ったベンをコルトの護衛していたルークがベンを撃ちます。暗闇だったためにルークはベンだとわからなかったのね。幌馬車隊が全滅したのは単発銃しかなかったためで、ルークは6連発の完成を目指しているコルトに共鳴して敵対する銃器会社からコルトを守るために護衛していたんですな。ベンの亡骸を葬った後、ルークは黄色いガン・ベルトをつけて故郷の町に戻ります。時は1837年、赤ん坊を人質にした無法者一味と対決するところで続き……
1961年といえば団塊の世代が中学生になる頃で、中学生向けの学習雑誌(『中学生時代』『中学生の友』など)が色々出版されていました。『中学生画報』も中学生をターゲットにしたのでしょうが、資料を見ると通常のマンガ雑誌と何ら変わらなく差別化できなかった感じですね。当時は西部劇ブームだったのに、掲載誌廃刊で未完なのが残念で〜す。